パッチワーク的リミックスの作り方その2とフェード設定

前回の日記の続きです。
今回は異なる2曲以上を使ったパッチワーク的リミックスの作り方と、自然に聴こえるようにつなぐためのフェード設定のノウハウです。今回も長くなってしまいました。端的に分かりやすくまとめるのがどうも苦手なようです…(+_+)

  • 今回の説明用に作成したミックスの概要

前回と同様に上のトラックだけ使用して、そこに曲のブロックを並べて作っています。今回はマドンナのアルバム2種類から3曲使いました。最初から3曲を決めていたわけではなく、下記2枚のアルバムを DB Builder に入れて合う組み合わせを探しながら結果的に見つかったものがこの3曲です。
Confessions on a Dance Floor [Confessions on a Dance Floor] Forbidden Love
ミュージック [Music] Runaway Lover, Impressive Instant
これらの曲から次の部分を使っています。※クリックすると拡大します
Forbidden Love

Runaway Lover

Impressive Instant

番号を振ってある部分のブロックを順番に並べて今回のリミックス Impressive Forbidden Lover ができています。レシピルームにもアップロードしておきましたので、この2枚のアルバムをお持ちの方は聴いてみてください。




  • 作り方


とりあえず今回はメインの曲を Forbidden Love に決めて、まずはサビの部分を二つ連続してドラッグして置きました。

ちょっと一言

新規で作成した場合、初めて上段にブロックを置くとそのブロックのマスターキーとマスターテンポ(BPM)が自動的に設定されます。マスターキーやマスターテンポ(BPM)を強制的に変えたい場合には手動で変えることが可能です。また、BPM 値の横にある「calc.」ボタンを押すと現在の上段トラックに配置されているブロックすべての平均テンポが計算されてマスターテンポに設定されます。また、Key 値の横にある「org.」ボタンを押すと上段ブロックの先頭ブロックのキーがマスターキーとして自動的に設定されます。




今回の例では、Impressive Instant が Am で残りの2曲は Bm です。従来の波形編集ソフトなどでそのままつなぐと調が違うために違和感があります。


MMG ではデフォルトで自動転調機能が働きます。この例では Impressive Instant のブロックの「自動転調」が ON になっていることで、自動的に転調されて違和感がなくなります。今回の例では、マスターキーを Bm にしているので Impressive Instant は半音二つ分自動的に上げて再生されます。マスターキーを A に設定した場合には、逆に他の2曲が半音二つ分自動的に下げられます。

※すべてのブロックは、そのブロック固有のテンポやキーに関わらず、自動的にマスターテンポとマスターターキーに合わせて再生されます。
※ただし、ブロックのプロパティで「自動転調」の設定を off にしてある場合にはマスターキーに従わずに自由なキーで再生することができます。

サビ終わりで違う曲につながらないか探してみることにします。やみくもに置いたとしてもある程度見つかる可能性はあるのですが、リコメンド機能を使う方法をご紹介します。本来のリコメンド機能は上段のブロックに合う下段トラック用のブロックを探すわけですが、工夫すると上段トラックに続くブロックをリコメンドすることも可能です。

Forbidden Love のサビあけのブロック「F」をとりあえず上段に置きます。この状態ではサビあけに通常通り Fブロックが再生されることになります。


ここで、Fブロックに対してリコメンドをかけます。


候補のブロックを Fブロックのところにドラッグします。すると候補のブロックが Fブロックの前に挿入されます。そして、Fブロックをトラックの外にドラッグして捨てます。


挿入したブロックの上で右クリックして出るメニューから「オリジナル曲の表示」を選ぶと、現在のブロックが原曲のどこの範囲を示しているかを赤い枠で楽曲リスト上に表示してくれます。


今回の例ではAメロの半分くらいの範囲だったようなので、Aメロ全体が再生されるように範囲を伸ばしました。


Runaway Lover ももう少し連続で再生したいなと思ったので、Aメロに続くサビ(Chorus)と Fメロまでドラッグして配置します。
※Aメロのブロックをもっと伸ばして2回目のAメロ前までひとつのブロックにすることも可能なのですが、、、テンポが大きく揺らいでいる部分が含まれている長いブロックでは微妙にタイミングがずれてきてしまうようで、次のブロックへのつなぎ部分のテンポがガクっとなってしまうことがあるようです。バグかもしれないので今後原因を調べますが、現時点ではたとえ原曲で連続した部分だとしても、Aメロ、Bメロなどメロディブロックごとに細切れのブロックを配置してもらったほうが安全かと思います。

その後の2回目の Aメロからまた別な曲につないでみようかと思い、先ほどと同じ要領で差し替え前の Aメロをまずは配置して、その Aメロに対してリコメンドをかけます。


Impressive Instant がひっかかりました。この曲はコード変化がないようで、ずーっと同じコードです。リコメンドでも曲のすべての部分がひっかかりました。


適当にリコメンドされたブロックを聴いてみて、音色や雰囲気が合いそうな部分を探して配置します。不要になった Aメロをトラック外にドラッグして消します。


今回リコメンドで配置したブロックをそのまま使ってもよかったのですが、D メロとソロの部分の両方を含んでいてちょっと長かったので、範囲を縮めて D メロだけ使用しました。もちろんソロまで使用しても問題はありません。この辺は単に好みの問題です。


以下同様につないでいって全体の流れを完成させます。
今回はリコメンドをうまく使ってつなぎを探す方法を解説しましたが、1トラックだけを使ったリミックスの場合、曲の雰囲気が合っていればリコメンドを使わずにブロックを適当に配置するだけでもカッコよくつながる可能性はけっこうあります。自動的にテンポを合わせて転調も行ってくれるので、やってみてダメであってもまた違うブロックを入れて試すことは簡単です。
また、リコメンドを使って合いやすい曲の組み合わせを見つければ、その曲だけに絞って適当にブロックを組み合わせて作ることもワタクシはよくやります(偉そうに言ってますが、あくまでもこのアプリを作ってからのニワカ経験者です (^_^;))

ちょっと一言

作ったミックスを聴いて確認する場合に、好きな場所に飛ばす場合には小節グリッド(図の赤丸部分)をクリックします。このとき注意していただきたいのが、飛ぶのは押した直後ではなく次の小節頭のタイミングとなります。飛ばないと思ってガシガシ押さずに次の小節頭まで待ってくださいませ。

  • フェード時間の設定 〜さらに自然にするために〜

作っている最中や完成してから確認してみると、不連続な曲のつなぎ目で次のような不自然な感じを受けるところがあるかもしれません。

  1. ノイズがのる感じがする、あるいは途切れた感じがする
  2. 前後のブロックの雰囲気や音色がちょっと違うので違和感を感じる
  3. まったく別の曲に唐突に変わってる感じでありえない

3.に関しては、、、どうしようもないです。将来的にエフェクトを付けたりすることを考えていますがあまりに合わない場合にはブロックを変えるしかないかと思います。
では、1,2 の対処法を解説します。万能ではありませんが、違和感をかなり軽減できる方法です。

1.ノイズがのる感じがする、あるいは途切れた感じがする


今回の例ではたとえばブロック7番と8番のつなぎのところです。そのままでもそんなにおかしくはないのですが、ちょっと途切れた感じがあったので非常に短いクロスフェードをかけました。
 まず Impressive Instant の D メロディブロックのフェードアウト時間を 0.1秒(100ミリ秒)に設定します。次に直後の Forbidden Love の Fメロディブロックのフェードイン時間を 0.1秒に設定します。
※0.1秒は大き目のノイズを回避するために用意した値です。0 は何もせずに瞬時に次のブロックに変わります(内部では 0.01秒のフェードイン/アウトがかかっています)。
ここまで書いて気づいたのですが、フェードイン時間のメニューとフェードアウト時間のメニューでメニューの中の文言が違ってますね…。次回修正しなくては。


概念的な図で表すとこんな感じになります。非常に短時間ですが前後のブロックの音がクロスフェードして混ざりながら徐々に切り替わるためノイズが出なくなります。

前後のブロックの雰囲気や音色がちょっと違うので違和感を感じる

10番と11番のつなぎの部分ですが、そのままでも聴けなくはないのですが、ちょっと違和感を感じるのでよりカッコよくなるようにフェードを使うことにしました。クロスフェードでもよいのですが、11番のブロックはカットインで入った方が結果としてカッコよかったので、10番のブロックだけフェードアウトます。
先ほどの例では0.1秒という急峻なフェードアウトにしましたが、今回は前のブロックの雰囲気を残しながら徐々に次のブロックに移行するために、2小節分フェードアウトを設定することにします。メニューの中に「+1小節」というのがあるので、それを2回行うと2小節分の長さでフェードアウトします。実際の長さは現在設定されているマスターテンポから計算されます。


概念的な図で表すとこのようになります。前のブロックが徐々に消えていくのですがその間にも次のブロックがそのまま再生されています。

ちょっと一言

右クリックメニューの「プロパティ…」を選択すると、現在のフェード時間の設定を細かく確認することができます。+1小節や +1拍を行うと内部では時間に変換されます。プロパティでは時間(ミリ秒:msec)を細かく指定したり、拍数(beats)を直接入力することができます。


フェードを行うときのカーブを指定することもできます。フェードカーブは参考までに次のようになっています。デフォルトは EXP です。